2020.01.07 ブログ記事「WDSFとWDCについて」

  相克のWDSFWDC

 

世界には二つの大きな流れがあります。英国にルーツをもつといわれる社交ダンスの世界は、競技ダンスから発展し、今や、ダンスパフォーマンスを見て楽しむ時代になりました。芸術性とエレガントを重視する伝統的な英国スタイルのWDC(世界ダンス議会)の踊り方に対し、WDSF(世界ダンススポーツ連盟)はその名のとおり、スピードとダイナミックの中に、アーティスティックな要素を取り入れています。

 

そんな両団体のトップダンサーがひとところに会して、ダンスパフォーマンスを繰り広げる機会を目にすることができました。さる1215日に東京・椿山荘ホテルで開かれた、三輪ダンススクールのパーティーにおいてです。三輪ダンススクールにはJDSF-PD部門に所属する多くのプロフェッショナル・ダンサーがいます。そのご縁もありまして、見学させていただきました。

 

やはり多くの喝采を浴びたのはエストニアの、マディス・アベルとアレキサンドラ・ガルキナ組でしょうか。ジュニアから注目されていたアベル組は、今年の後半からいよいよ、WDSFの世界ファイナリストにコールされるようになりました。若さとイケメンぶり、エネルギッシュと芸術性については誰もが認めるところです。以下のDanceSportsTotal (DST) Youtube動画からご覧いただけますのでチェックしてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=pj4P5bPWwtA&t=505s

 

そして、日本にも多くのファンをもつイタリアの、モニカ・二グロとバレリオ・コントラー二組です。モニカさんはファッションモデルのお仕事もされているだけに、そのスタイルとカリスマ性は誰にも真似できません。お二人のスローフォックストロットを目の当たりにして、思わず涙腺が緩んでしまいました。背筋がゾクゾクします。人はダンス・パフォーマンスのどこに感動するのでしょうか? 速い・すごい・かっこいいだけではない、心をギュッとつかまれる、そんな瞬間があります。やはり、芸術と呼ぶべきなのでしょう。

 

さらに特筆すべきは、デミトリィ・ジャルコフとオルガ・クリコヴァ組の野心的な踊りです。昨年、WDSFのアマチュアからプロに転向したジャルコフ組は、競技ダンスの窮屈な世界から解き放たれて、見せるダンス・パフォーマンスの可能性に正面から向き合い、自ら新たな世界を切り開こうとの強い思いを感じさせます。

 

極みは、ビクター・ファンとアナスタシア組でした。来日回数が多いので日本にもたくさんのファンがいます。オリエンタルな雰囲気を醸し出すビクターと、ロシアの宝石と言われるアナスタシアの、あのエレガントな踊りを見ることができるのも、今年限りかもしれません。残念ながら、お二人はそれぞれの道を歩むことが伝え聞かれています。

 

他にWDSFからベゼリス組、WDCから新進気鋭のポルタネンコ組を加えた総勢6組が、スタンダード5種目(ワルツ・タンゴ・フォックストロット・ヴィーニーズワルツ・クィックステップ)の、全部で30曲を踊り切りました。会場は500名ほどの参加者の熱気にあふれ、興奮と感動の2時間でした。今年は1226日(土)に同じく、ホテル椿山荘東京で開催されます。立ち見席ならば1万円で観賞できますので、年末のお忙しい方にはおすすめです。チェックしてみてください。